Claus Ogerman
ひっそりとはじめてみたブログ。
とりあえず自分の趣味、関心事についてつらつら書いていこうと思います。
さて、私は作曲家/アレンジャーを生業としていますが、最も尊敬するアーティストとしてまず真っ先にに名前をあげるのが、Claus Ogermanです。
Claus Ogerman - Wikipedia, the free encyclopedia
彼の仕事として最も有名なものはAntonio Carlos Jobimのアルバム、「Wave」のアレンジメントでしょう。
他にもさまざまなアーティスト(Bill Evans、Michael Brecker、Jan Akkerman、Barbra Streisand、Diana Krall、Danilo Perez..etc)のアレンジ、プロデュースを手がけ、その耽美的なサウンドは唯一無二の存在感を示しています。
主に「職人的な」アレンジャーとして評価されがちな彼ですが、実はアレンジに自作曲からの引用がものすごく多いです。
その一例として彼のオーケストラ作品「Lyric Suite」を取り上げたいと思います。
この4楽章からなる組曲は、彼の作品の中でも最も美しく、個性的な作品の1つです。
先日念願のスコアを手に入れ、オーケストレーションを紐解いていますが、本当に驚きの連続です!これも別の機会にご紹介できればと思っています。
なぜこの作品を選んだかというと、単純にアレンジで引用された回数が多かったから笑
例えばDanilo Perezの「Across The Crystal Sea」に収録されている「Another Autumn」一応共作扱いになっていますが、エンディングが4楽章のエンディングのまんまです。
(というかほぼコピペ)
Jan Akkermanの「Aranjuez」に収録されている「Modinha」のイントロは3楽章のイントロと同じ。このアルバムでは他にも「Love Remembered」で3楽章のイントロをエンディングに流用しています。
2楽章にいたってはMichael Breckerの「Cityscape」に収録されているアルバムタイトルと同名の「Cityscape」という曲名でカヴァーされています。
同じくMichael Breckerの「Cityscape」収録の「In the Presence and Absence of Each Other」という4曲からなる組曲の1曲目はLyrcal Suiteの1楽章のカヴァー....。(しかも後に続く3曲は全く別曲)
後半はもはやカヴァーですが、このように自分の書いた組曲を他人の作品に容赦なく組み込んできます。
これはアーティストの意向か、ディレクターの指示かはわかりません。しかし、普通自分の作品をここまでコスるのは(人のアルバムで)考えられません。(少なくとも私の感覚では。。。)
いちアレンジャーとしてではなく、アーティストとしてOgermanのサウンドを要求されたとしても、普通はこんなことしないでしょうと....。
このようなことからClaus Ogermanはかなり「公私混同」な仕事の仕方をしていたのではないかと考えました。
こうした彼の仕事が「職人的」と呼ばれるのところに、ひとつの真理があるように思います。
とりあえず、今日はこのへんで。