渡航に際して
前回の記事からはや3ヶ月弱、まあこうなることは予想できていました。笑
昔は練習日誌なんかをマメにつけたりしていたので、「自分は几帳面な性格だ」などと勘違いしていましたが、人間自分の本性なんて簡単には把握できません。
今夏はさほど忙しくもなく、ぼーっとしていました。笑
フジロックに行ったり、シン・ゴジラを見たり、なかなか楽しかったように思います。
ただ、8月後半から急患(笑)が増え、9月は仕事で渡航することになりそうです。
思えば学生生活一度たりとも自分で海外に行った事がありませんでした。
ただ両親のおかげで、割と早い段階で欧州や東南アジアの国々を旅行する機会があり、
こうして仕事で急に海外行きが決まるようになっても、さほど物怖じしません。
むしろ純粋な旅行として行く方が、プレッシャーを感じます。笑
何故かというと「遊ぶ計画」を練らなくては行けないから。
仕事とちがって身銭をきっての渡航は「元をとらねば!」というさもしい根性に思考が支配されがちです。予定をキュウキュウにつめて「この国にきてこれを見ないのはありえない!」みたいな、誰が決めたのかしらん価値観で予定を立てるのは愚かな行為だと思います。でもただの旅行だとそうなりがちです。
昨年夏、フランスに仕事で行った時は自由行動が1.5日しかなく、そのうちの1日は
この世でもっとも忌避するもののひとつ、団体行動!
まあ雇われの身で観光の移動費は全部負担して貰うわけだし、段取りよく名所につれてってくれるのでそこそこは楽しめますが....しんどい^^;
やっぱり生理的な時間の流れがあわない複数人とは、芸術を共有できません笑
のこりの半日は、かねてから行きたかったミシェル・ペトルチアーニが眠るペール・ラシェーズ墓地に一人で行こうと決心しました。ただ、まわりは「フランスまで来てなんでお墓なんか行くの?」という感じで「単独行動は危ないからそんなわけわからんとこ行くな」くらいの雰囲気でした。
ただ、一人だけ以前その墓地を訪れて、「今回もまた行ってみたいと思っていた。」という方がいらっしゃったので、2人で電車をのりつぎ目的のペール・ラシェーズ墓地へ行きました。
結果的に大満足!ルーブル美術館も、きれいなステンドグラスの教会も見れませんでしたが、僕の心は満たされました。
自分が欲しいものや得たいものというのは、自分が思う以上に他人の価値観に影響されがちです。ただ、それをとっぱらって本当に求めているものに出会えた時の喜びは格別です。
限られた自由な時間の中で、本当に自分が感じたいものはなにか?
それを突き止めていけば、自分の「本性」がすこしづつ把握出来るようになるのかもしれません。
Claus Ogerman
ひっそりとはじめてみたブログ。
とりあえず自分の趣味、関心事についてつらつら書いていこうと思います。
さて、私は作曲家/アレンジャーを生業としていますが、最も尊敬するアーティストとしてまず真っ先にに名前をあげるのが、Claus Ogermanです。
Claus Ogerman - Wikipedia, the free encyclopedia
彼の仕事として最も有名なものはAntonio Carlos Jobimのアルバム、「Wave」のアレンジメントでしょう。
他にもさまざまなアーティスト(Bill Evans、Michael Brecker、Jan Akkerman、Barbra Streisand、Diana Krall、Danilo Perez..etc)のアレンジ、プロデュースを手がけ、その耽美的なサウンドは唯一無二の存在感を示しています。
主に「職人的な」アレンジャーとして評価されがちな彼ですが、実はアレンジに自作曲からの引用がものすごく多いです。
その一例として彼のオーケストラ作品「Lyric Suite」を取り上げたいと思います。
この4楽章からなる組曲は、彼の作品の中でも最も美しく、個性的な作品の1つです。
先日念願のスコアを手に入れ、オーケストレーションを紐解いていますが、本当に驚きの連続です!これも別の機会にご紹介できればと思っています。
なぜこの作品を選んだかというと、単純にアレンジで引用された回数が多かったから笑
例えばDanilo Perezの「Across The Crystal Sea」に収録されている「Another Autumn」一応共作扱いになっていますが、エンディングが4楽章のエンディングのまんまです。
(というかほぼコピペ)
Jan Akkermanの「Aranjuez」に収録されている「Modinha」のイントロは3楽章のイントロと同じ。このアルバムでは他にも「Love Remembered」で3楽章のイントロをエンディングに流用しています。
2楽章にいたってはMichael Breckerの「Cityscape」に収録されているアルバムタイトルと同名の「Cityscape」という曲名でカヴァーされています。
同じくMichael Breckerの「Cityscape」収録の「In the Presence and Absence of Each Other」という4曲からなる組曲の1曲目はLyrcal Suiteの1楽章のカヴァー....。(しかも後に続く3曲は全く別曲)
後半はもはやカヴァーですが、このように自分の書いた組曲を他人の作品に容赦なく組み込んできます。
これはアーティストの意向か、ディレクターの指示かはわかりません。しかし、普通自分の作品をここまでコスるのは(人のアルバムで)考えられません。(少なくとも私の感覚では。。。)
いちアレンジャーとしてではなく、アーティストとしてOgermanのサウンドを要求されたとしても、普通はこんなことしないでしょうと....。
このようなことからClaus Ogermanはかなり「公私混同」な仕事の仕方をしていたのではないかと考えました。
こうした彼の仕事が「職人的」と呼ばれるのところに、ひとつの真理があるように思います。
とりあえず、今日はこのへんで。